マンションやビルを運営するにあたって、総合管理会社に委託するケースは少なくありません。
大抵の場合は任せておけば問題ないものの、オーナー自身がどの項目にどれくらい費用がかかって、どんな作業をしているのかを知ることはとても大切です。
そこで本記事では、ビル管理会社の仕事内容について詳しく解説。
全てとはいかないまでもある程度のまとまった知識があれば、作業がきちんと行われているかどうかを判断することも可能になります。
前半は『ビル管理会社の種類』について、後半は今回のテーマでもある『ビル管理会社の仕事内容について』です。
安定した収益を上げるためにも、業務内容を知ってお金をかけるべきところとそうでないところを見極め、より円滑な運営を目指しましょう。
また、「ビル管理会社に就職したい」とお考えなら、こちらの記事で取り上げていますのでぜひご一読くださいね。
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ビル管理会社の種類
ビル管理会社は成り立ちや業務内容によって以下の2種類に大別されます。
- 系列系⇒親会社の所有するビルや施設の管理を行う
- 独立系⇒主に入札物件を管理。または大手企業が入札した物件の請負業務
それぞれで得意としている分野が異なるため、最初にビル管理会社選びをする際は委託内容を明確にしておくことが重要です。
系列系
大手不動産開発業者やゼネコン大手企業がグループ会社として設立しており、知名度が高くサービスも手厚い傾向にあります。
ビルの運営やテナント誘致、改修工事にも対応できるため、建物の規模が大きいほどメリットがあると言えます。
一方で設備不良などの問題が発生した場合、ビルオーナーより親会社の移行が優先されるケースが少なくありません。
また、企業ブランドがあるため管理委託費用が高かったり、提案がない、融通が利かないといったデメリットもあります。
独立系
親会社を持たない独立企業であり、マンションやビル管理の他、官公庁の管理も請け負っています。
中小企業が多い傾向にあり、積極的な提案がある、管理委託費用の相談ができるといったメリットがあります。
その他にも独自のサービスがあったり、系列系や他の管理会社に管理を断られた場合でも対応してもらえたりもするようです。
デメリットとしては系列系と比べて建物の設計情報が少ない、サービスの品質が劣る可能性があるなどが挙げられます。
ビル管理会社を比較するポイント
ビル管理会社選びで押さえておきたいポイントはズバリ3つあります。
1つ目が“管理費用”、2つ目が“過去の管理実績”、そして3つ目が“丁寧な説明の有無”です。
ビル運営で長期に渡る安定した収益を得るためには、コストを抑えつつ資産価値を落とさない(できれば高める)ようにする必要があります。
一見とても難しいことのように思えますが、信頼できるビル管理会社を見つけられれば決して不可能なことではありません。
管理費用
ビル管理会社と契約を交わす前に、管理費用は入念に確認しましょう。
どの項目にどれくらい費用がかかるのかを、最初から全て理解しているオーナーは多くありません。
インターネットで検索すればある程度の相場は知れますが、地域によっては実際にかかる金額と大きくかけ離れているケースが少なくないようです。
それからビル管理会社は建物の管理に長けた“ビルマネジメント”と、建物管理以外に賃貸管理も行う“プロパティマネジメント”という2つのタイプに分かれることも知っておかなければなりません。
契約時には管理会社と話し合う場が設けられますから、依頼する業務内容や見積もりをきちんと把握しておくことで不要なコストをカットすることができます。
管理実績
管理費用と同じように大切なのが、その管理会社がどのような実績を持っているかです。
管理数が多ければそれだけ豊富な実績があるわけですから、たとえ厄介なトラブル対応であっても経験を生かしたノウハウを持っていることでしょう。
しかし、ここで気をつけなければならないのが、実績が多いからといって必ずしもオーナーにとって良い管理会社とは言えない点です。
また、中小規模のビルが得意なのか、それとも大規模なビルが得意なのかもきちんとチェックしなければなりません。
大規模なビルの管理を任せるにあたって、実績が豊富だからと中小規模のビル管理を得意とする会社に委託しても、手が回らなかったり適切な対応を行ってもらえない可能性があるので注意が必要です。
丁寧な説明の有無
どんなに低価格でどれだけの実績があろうと、業務仕様について丁寧な説明がないようであれば信用できません。
といいますのも、ビル管理会社は契約を結ぶ前に、業務内容や範囲について記した業務仕様書を作成します。
この業務仕様書は契約書に添付されるものですが、ここでしっかりした説明がないと後々トラブルになりかねないからです。
契約を締結する際に確認すべき項目は、
- 契約期間が1年毎の更新になっているか
- 契約更新にあたって、双方が同じ条件になっているか
- 解約時の申請期日が明記されているか
- 管理費以外の費用は日付と内訳が明記されているか
- 作業が必要な項目については、回数と実施月が明記されているか
- 作業を再委託する際の条件が明記されているか
上記が最低限となります。
これより少ない、もしくは全く足りない場合には詳しく聞き直すか、ビル管理会社を選び直しましょう。
ビル管理会社の仕事内容
ここからは本記事のテーマにもなっているビル管理会社の仕事内容について解説していきます。
ビル管理会社は主に設備管理と賃貸管理を行っており、前項では設備管理のみ行うのをビルマネジメント、賃貸管理(もしくは両方)を行うのをプロパティマネジメントと紹介しました。
本項では設備管理(ビルマネジメント)と賃貸管理(プロパティマネジメント)をそれぞれ詳しく解説していきます。
設備管理(ビルマネジメント)
建物と設備機器の点検を定期的に実施しながら、運転監視や維持管理をするのがビルマネジメントであり、利用者(居住者)にとっての安心・安全と快適空間の創出を目的としています。
そのため設備管理の内容は、主に点検業務、清掃業務、警護・防災業務の3つです。
点検業務
ビルには電力や空調、給排水など多くの設備が備わっており、これらの設備を適切に維持管理する必要があります。
ビルやマンションでは利用者の安全のために「定期的に点検を実施すること」と法令で定められており、この法令に則って行われる点検のことを法定点検といいます。
車で言うところの車検のようなものですが、建築基準・電気事業法・消防法・省エネ法・ビル衛生管理方・水道法・高圧ガス取締法など様々な法令が関与しており、定められた期間で適正に実施しなければなりません。
万が一ですが法定点検を実施しなかった場合、項目にもよりますが100万円以下の罰金などのペナルティが課せられます。
法定点検が適正に実施されておらず、甚大な事故が発生した場合にはビルオーナーや管理者の管理責任となりますので、ビルを安全かつ快適に維持するためにも必ず実施しましょう。
清掃業務
ビルの利用者に快適な環境を提供することは、資産価値を維持するだけでなくテナントの入居率にも大きく影響します。
そのため、マンションやビルの管理費の中では清掃関係が最も大きい割合を占めており、その費用の大半は清掃作業をする作業員の人件費に充てられます。
清掃業務は日常的に行われる日常清掃と、普段は行わない場所を掃除する定期清掃、そして不定期で実施する特別清掃の3種類です。
清掃作業員は業務を行いながら建物や設備に異常がないかもチェックしており、もしも異常を発見した場合には速やかに対応および報告しなければなりません。
ただし、日常清掃は週5日実施するところもあれば週1~2日程度であったりと、管理会社や費用によって異なるようです。
警備・防災業務
前述の点検業務の項目で関与する法令に消防法が出てきましたが、利用者の安全を確保するためには警備だけでなく防災への備えも必要です。
消防法により実施期間が定められている点検は、以下のようなものがあります。
- 総合消防設備保守点検(1回/年)
- 外機消防設備保守点検(1回/年)
- スプリンクラー設備保守点検(1回/年)
- 排煙設備保守点検(1回/年)
- 防火対象物定期検査(1回/年)
この他にも送水管の耐圧試験を行ったり、消防訓練を実施することも法令で定められています。
一方の警備業務には、監視カメラなどによる機械警備(セキュリティシステム)と、警備員の巡回などによる人的警備があります。
近年では監視カメラやセンサーが異常を感知→警備員が駆けつけるという機械警備が主流になってきており、オフィスビルといえども警備員が常駐しているケースは多くありません。
賃貸管理(プロパティマネジメント)
オーナーに変わって不動産経営に関する維持管理を行うのがプロパティマネジメントです。
業務内容は多岐に渡りますが、設備管理が“利用者の安心と快適空間の提供”を目的としているなら、賃貸管理は“資産価値の維持向上”を目的としたサービスと言えます。
賃貸管理業務は大まかに分けて4種類あり、特に重要とされるが支払いや請求を行う入出金の管理です。
入居者の募集および賃貸契約関連業務
プロパティマネジメントの代表的な業務の一つに、入居者の募集と賃貸契約に関する業務が挙げられます。
商用ビルにおいては企業と賃貸物件の仲介や、借り手がつくようサポートを行うケースもあるようです。
空室が増えれば当然利益は下がりますし、そうなれば委託契約が解除されることもあるため、場合によっては周辺地域の賃料相場をリサーチするなどマーケティングを実施することも。
また、物件を建築する段階でどのような構成にするのか、賃貸条件はどうするかなどをビルオーナーと検討することもあるようです。
家賃の集金および滞納者への督促業務
アカウント管理業務とも呼ばれますが、プロパティマネジメント業務の中で特に重要とされるのが各所への支払いや請求を行う入出金の管理です。
オフィスビルを例に挙げるなら、共用部分の電気及び水道代を算出し、各テナントに対して賃料と管理料等に合わせて請求を行います。
ビルオーナーへはメンテナンス費用や工事費用、消耗品費等を月単位で集計し、管理費用と併せて算出・請求します。
それから、請求に応じてもらえない場合や反応がない場合は支払い督促を行い、できる限り速やかな回収を行うのもアカウント管理業務の一つです。
クレーム対応業務
ビル利用者からのクレーム窓口として、オーナーに代わってやり取りします。
騒音やゴミ出しのマナーなど入居者同士や近隣住民とのトラブル対応はもちろん、設備に異常があった際も迅速な対応が求められます。
必要に応じて各業者と連携し、クレームの原因を追求・解明しなければなりません。
テナント対応
アカウント管理業務と一部重なりますが、ビルオーナーに変わって入居者とのやり取りを行います。
賃貸の契約・更新・解約時には事務手続きを行い、利害が一致せず当事者(利用者とオーナー)だけでは進まないような場合には交渉の仲介に入ることも。
また、家賃の滞納が発生した際は督促を行い、内容証明の送付や連帯保証人への連絡および弁護士とのやり取りも行います。
ビルオーナーが個人で全て行えば時間だけでなく多くの費用を消費しますが、ノウハウを持つ管理会社に任せれば迅速かつ確実な対応が期待できるでしょう。
ビル管理会社は賃貸運営のパートナー
ビル管理会社の特徴や仕事内容を理解すれば、委託内容からどのような会社と契約すれば良いのかがわかるようになります。
本来ならビルの衛生管理からテナント対応まで信頼できる管理会社に丸ごとお任せできれば理想ですが、余分なコストを削減するためにも最低限の知識は備えておきましょう。
それでもビル管理会社を決めかねていたり、そもそもどこにすればいいか見当もつかないという場合には、専門サイトや一括見積もりサービスなどの利用をおすすめします。
求める条件にピッタリ合うかできる限り近いビル管理会社を見つけることができれば、ビル運営は長期的かつ安定的なものになるはずですよ。
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