法人名義でマンションを所有しているオーナーさん、勘定科目内訳明細書の書き方に頭を悩ませていはいませんか?
税理士に任せてしまえば問題ありませんが、「手数料もバカにならないのでできれば自分で…」と考えている方もいるでしょう。
勘定科目内訳明細書は複雑に見えますので、「管理費や賃料収入、修繕費などをどう記載したらいいのか?」と悩む人が多いようです。
そこで本記事では、法人名義でマンションを所有しているオーナーさん向けに、管理費や賃料収入、修繕費などの勘定科目内訳明細書についてご説明します。
ひとつひとつ丁寧に取り組んで行けば、ご自分でもできる内容なのでご安心ください。
また「マンションの管理費の相場」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
【PR】マンション管理 / 定期清掃の見積もりなら
しんらいライフサービス
しんらいライフサービスは、沢山の支援項目だけではない!
親身に対応してくれるスタッフがとても多いので、分からないことが多い方から
柔軟に対応して欲しい方におすすめです。
マンション経営は法人の方が有利
法人につきものなのが、決算書の作成と法人税の申告です。
当然、不動産業も決算書の作成と法人税の申告を行うわけですが、「簿記・会計は苦手」という人も多いでしょう。
そのため個人経営のままにしているマンションオーナーさんもおられます。
しかし、税法上のメリットを考えると法人経営にした方が断然お得です。
というのも、個人で支払う所得税や住民税より法人税・法人住民税のほうが安くなるためです。
所得金額が800~900万円を超えていることが前提となりますが、この金額を超えているマンションオーナーさんは多いでしょう。
法人設立時にかかる諸費用を計算しても税法上のメリットの方が大きいので、所得金額が多きくまだ個人経営のままにしているマンションオーナーさんがいれば、法人化を検討するとよいでしょう。
法人税・法人住民税以外のメリット
個人で支払う所得税や住民税より、法人税・法人住民税のほうが安いという以外にも法人化のメリットはあります。
- 資産の分散によってリスク管理ができる
- 欠損金の繰越によって節税ができる
- 役員報酬の形で資産の移転・継承ができるため相続対策になる
- 厚生年金に加入できる
法人経営には以上のようなメリットがあり、個人経営と比べると手元に残るお金が多くなります。
それに対して、主なデメリットは、法人設立時の諸費用と財務諸表作成です。
法人設立時の諸費用は最初の1回のみですし、財務諸表作成は本記事の内容を踏まえて取り組めばそう難しいものではないでしょう。
法人にすると勘定科目内訳明細書が必須になる
法人化はメリットの方が大きいのですが、前述した通り会計書類の作成が少々面倒です。
法人が年に一度作成する決算書と法人税申告書は、個人経営者が作成する白色申告書よりはるかに複雑なのが難点です。
さらに法人税申告書には、「勘定科目内訳明細書」を添付する必要があります。
この勘定科目内訳明細書の内容に不備があると、税務署から指摘を受けることとなりかねません。
場合によっては税務調査が行われるケースもあるでしょう。
勘定科目内訳明細書はそれほど重要な書類なので、正しい知識を持って間違いのないように作成しなければいけません。
勘定科目内訳明細書とは
勘定科目内訳明細書とは、「提出された法人税申告書が企業の実態に沿って適正に作成されているか」を確認するためのものです。
全16種類のなかから必要なものだけ作成すればよいのですが、ほとんどの法人において8種類以上は必要です。(取引形態や所有資産の内容によって異なります)
1種類ずつみれば大した作業量ではないものの、8種類以上も作成するとなるとかなりの作業量になります。
なのでオーナーさん自ら決算処理をする場合は、なるべく高機能で入力項目が少なくて済む会計ソフトを使用するようにしましょう。
16種類の勘定科目内訳明細書
勘定科目内訳明細書の種類は以下で示す16種類です。
預貯金等の内訳書 | 「金融機関名」「口座番号」「期末残高」など保有している預貯金等ごとに記載 |
受取手形の内訳書 | 「振出人」「振出日」「支払期日」「支払銀行」「債権金額」などを手形の相手先ごとに記載 |
売掛金の内訳書 | 「相手先名」「期末残高」などを相手先ごとに記載 |
仮払金、貸付金及び受取利息の内訳書 | 仮払金は「名称」「住所」「期末残高」「取引内容」などを、受取利息は「貸付先名」「期末残高」「期中受取利息額」「利率」などをそれぞれ相手先ごとい記載 |
棚卸資産の内訳書 | 「科目」「品目」「数量」「単価」などを記載 |
有価証券の内訳書 | 「区分種類銘柄」「期末残高」「期中増の明細」「摘要」などを有価証券ごとに記載 |
固定資産の内訳書 | 「種類など」「期末残高」「期中取得の明細」などを固定資産ごとに記載 |
支払手形の内訳書 | 「支払先」「期末残高」「支払銀行名」「摘要」などを支払先ごとに記載 |
買掛金の内訳書 | 「相手先名」「所在地」「期末残高」「摘要」などを相手先ごとに記載 |
仮受金の内訳書・源泉所得税預り金の内訳書 | 仮受金は「相手先」「期末残高」「取引の内容」などを、源泉所得税預り金は支払年月」「所得の種類」「期末残高」をそれぞれ記載 |
借入金及び支払利子の内訳書 | 「借入先名」「所在地」「期末残高」「利子額」などを借入先ごとに記載 |
土地の売上高等の内訳書 | 「土地の所在地」「売上年月日」「売上先」「面積」「売上金額」などを記載 |
売上高等の事業所別内訳書 | 「売上」「期末棚卸高」「期末従業員」などを事業所ごとに記載 |
役員報酬手当等及び人件費の内訳書 | 「役員名」「住所」「給与額」などを役員ごとに記載 |
地代家賃等の内訳書・工業所有権等の使用料の内訳書 | 地代家賃等の情報、工業所有権等の使用料等の詳細を記載 |
雑益、雑損失等の内訳書 | 「相手先」「取引の内容」「所在地」「金額」を記載 |
ご覧のとおり、様々な科目で内訳明細書が必要です。
とはいえ、近年では会計ソフトの高機能化がすすんでいますから、仕訳と相手先の住所氏名の入力がしっかりできていれば自動的に正しい内訳明細書が作成されます。
消費税は管理費も修繕積立金も「課税対象外」
マンションの管理費や修繕積立費は、事業の対価とならないために課税対象外となっているのをご存知でしょうか。
管理費・共益費という名目に関わらず、非課税となります。
(参考:国税庁「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」)
修繕積立費はともかく、管理費まで課税対象外となるのには違和感を感じる方もいるかもしれません。
これらは課税対象外にもかかわらず、課税仕入れと処理してしまっているケースもありますので、注意しましょう。
マンションの管理費の勘定科目は?
会計ソフト上で仕訳がしっかりできていれば内訳明細書は自動的に正しく作成されます。
では、仕訳はどのようにして行うのか?
まずはマンション経営をする上で必ず登場する「管理費」の勘定科目からご説明します。
マンションの管理費を受け取った場合
入居者からマンションの管理費を受け取った場合、それは収入の一部とみなされます。(法人が不動産業かそれ以外の業種かで仕訳が異なります)
不動産業の法人が家賃収入を得ると「売上」として計上します。
不動産業以外の業種の法人が家賃収入を得ると、「受取家賃」か「雑収入」となります。
また、入居者から管理費の支払いを毎月を受けていて、なおかつそこから経費を支払うために会計処理している場合は、管理費に消費税がかかります。
仕訳の仕方
会計ソフトに入力する際は貸方に管理費を計上してください。
<例:入居者からマンションの管理費と家賃併せて80,000円を現金で受け取った>
借方:現金80,000 貸方:管理費80,000
マンションの管理会社に管理委託費を支払った場合
不動産管理会社に管理委託費を支払った場合は「管理諸費」として処理します。
管理諸費とは、マンション経営における経費のことであり、以下のようなものが含まれます。
<管理諸費の具体例>
- 管理会社の管理手数料
- 共用部の清掃費
- エレベーターの保守代
- 浄化槽の点検・清掃料金
- 消防設備・ケーブルテレビ・テレビアンテナ・インターネット設備の点検・整備料金
- 害虫駆除、樹木剪定等の費用など
上記を一つ一つ覚えるのは大変ですから、大まかに「共用部の維持にかかるコスト」と覚えておくとよいでしょう。
仕訳の仕方
会計ソフトに入力する際は借方に管理諸費を計上してください。
<例:管理会社にマンションの管理委託費100,000円を銀行口座引き落しで支払った>
借方:管理諸費100,000 貸方:普通預金100,000
マンションの修繕費の勘定科目は?
管理費に続いて修繕費の勘定科目もご説明します。
修繕費とは設備や外壁を修繕するために支払ったお金を指します。
これは経費として認められ、管理費の一部として計上されます。
ただし、あくまでも「修繕」ですから、設備や外壁を元の状態に戻す(又は購入時の状態を維持する)ことを指します。
改良したり新たな機能を加えたりした場合は、その追加分のみを「資本的支出」として計上してください。(資本的支出は支払った年に全額経費計上できませんから要注意です)
修繕積立金は?
マンションの入居者から「修繕積立金」を徴収しているオーナーさんもおられることでしょう。
「修繕積立金」とは将来発生する大規模修繕に備えてその費用分を毎月徴収して積み立てていくお金を指します。
通常はマンションの管理組合が徴収する形をとっており「収入」として計上します。
もっとも、「修繕積立金」は管理費とは別会計(修繕積立金会計)となり、実際に修繕を行って余ったとしても課税されません。
(契約上、返還義務がある場合は預り金処理をする)
修繕積立金を経費として計上するための条件
国税庁によると、以下のような4つの条件を満たす場合には、修繕積立金を支払った年の経費として計上して良いとされています。(参照:国税庁「賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い」)
1)区分所有者に支払義務がある
国税庁によると「区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること」と明記されています。
修繕積立金の支払いが義務であるとマンションの管理規約で定められているかが、1つめの条件となります。
多くのマンションで修繕積立金の集金を行っていますので、この条件は問題なくクリアできるでしょう。
2)管理組合に返還義務がない
国税庁によると、2つ目の条件は「管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと」とされています。
例え退去する場合であっても、一度支払った修繕積立金は戻ってこないという旨が記されていなければいけません。
3)積立金の使い道が限定されている
3つ目の条件は「修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと」です。
修繕積立金の用途は、管理費などと一緒にならないようにしなければいけません。
修繕積立金の使い道は、不足の事故や事態の際の修繕、バリアフリー化や駐車場の増設といった区分所有者全体の利益に限定されたものである必要があります。
4)積立金の算出方法が合理的である
4つ目の条件は「修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること」です。
共有持分とは、マンションの共有部分に対して、区分所有者が持っている所有権の割合です。
区分所有者が持つ、専用部分の割合によって決められています。
長期修繕計画が立てられているのはもちろん、所有権の割合に応じた修繕費用の分割がされているかがポイントです。
マンションの賃料収入の勘定科目は?
マンションの賃料収入の勘定科目は、法人が不動産業なら「売上」、不動産業以外なら「受取家賃」または「雑収入」になります。
いずれにせよ「収入」になりますので、経費を引いて黒字になった場合は法人税がかかります。
管理費、修繕費、賃料収入はどの勘定科目内訳明細書に入る?
「管理費」「修繕費」「賃料収入」の勘定科目についてはご説明した通りです。
仕訳ができれば勘定科目内訳明細書が正しく作成されるわけですが、それぞれどの勘定科目内訳明細書に組み込まれたのかが気になる人もいることでしょう。
勘定科目内訳明細書をチェックする意味でも、以下の仕組みはちゃんと理解しておいてくださいね。
管理費の場合
受け取った管理費は売上、支払った管理費は経費ですから、正しく仕訳がなされていれば必然的に預貯金等の勘定科目内訳明細書に組み込まれます。
ただし、管理費を手形で受け取り(又は支払い)、それが期日前の場合は受取手形(又は支払手形)として仕訳します。
その結果、受取手形(又は支払手形)の勘定科目内訳明細書に反映されます。
修繕費の場合
支払った修繕費は管理費の一部とみなされますから、管理費と同じように仕訳すれば自動的に預貯金等の勘定科目内訳明細書に反映されます。
ただし、修繕費を手形で支払い、それが期日前の場合は支払手形として仕訳しますから、支払手形の勘定科目内訳明細書に反映されます。
賃料収入の場合
法人の場合、賃料収入は売上又は受取賃料・雑収入となります。いずれにしても収入であり現金又は銀行振込みで受け取ることが多いはずです。
そのため預貯金等の勘定科目内訳明細書に反映されます。
ただし、賃料収入を手形で受け取りそれが期日前の場合は受取手形として仕訳しますから、受取手形の勘定科目内訳明細書に反映されます。
会計のサポートをしてくれる管理会社と契約したいなら
ここまでは「管理費」「修繕費」「賃料収入」に関する仕訳の仕方と勘定科目内訳明細書についてご説明してきました。
会計ソフトを使いこなせるなら問題なく勘定科目内訳明細書が作成され法人税の申告がかなり楽になるはず。その一方で「会計処理はどうも苦手」という人もいることでしょう。
そういう方は会計サポートも行う管理会社、しんらいライフサービス株式会社にお任せください。
しんらいライフサービスはマンションの管理業務全般(出納業務、清掃業務、入居者管理業務、内装業務、損害保険代理店業務など)を行っています。
仕事の質の高さはもちろん、手数料・料金の安さにも自信があり業務の継続率は97%。「マンションの資産価値を高めること」を第一の目標とし、物件の美化から経費削減まで幅広く対応します。
清掃業務や出納業務のみのご依頼にも対応しますので、この機会に是非ご検討ください。
*引用元:https://www.shinrai-ls.co.jp/
マンションの管理費、修繕費、賃料収入は正しく仕訳することが肝心
この記事ではマンションの「管理費」「修繕費」「賃料収入」についてご説明しました。
法人経営にしていると法人税の申告という面倒な仕事が発生します。その際に添付する勘定科目内訳明細書は16種類もあり戸惑う人もいることでしょう。
とはいえ、会計ソフト上で仕訳が正しくできていれば、勘定科目内訳明細書もまた自動的に正しく作成されます。
「管理費」と「修繕費」は経費として、「賃料収入」は収入として計上すれば難しいことは何もありません。
また、しんらいライフサービス株式会社のように会計サポートのある管理会社と契約するという手もあります。
いずれにせよ、法人税の申告は非常に大事なことなので、後々修正申告を求められることのないようにミスなく行ってくださいね。